雪の朝に想う
目が覚めた、ブルーホワイトの世界が広がっていた。
思えば入院していたその年は、雪が多い年だった。
放射線治療が終了するまで、もう一息のところまできていた。
髪がすっかり抜け、新しく生えた髪は1㌢ほどになっていた。
爪に横線が一本入っているのが気になり、毎日飽きずに爪を眺めていた。
しがらみがない、素の自分にもどれる、ウィッグをつけると気持ちまで若返る。
お隣の病室の患者さんは「年令不詳だね~」とよく揶揄う。
患者さんとも顔見知りになり楽しい入院生活を送っていた。
主治医の先生には、全幅の信頼をよせていた。
病棟の看護師さんは非常に良くサポートして下さる。
いつも感謝の気持ちでいっぱいになっていた。
柔らかな空気が流れ、私は安らぎのある、穏やかな入院生活を送っていた。