年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず
病院の予約日の朝、庭に飛んできたアゲハ蝶を眺めながら、「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」漢詩がまたあたまに浮かんだ。
ヒオウギのオレンジ色の花が一輪残っています。
古来より時季になると咲く、いにしえの花「ヒオウギ」の蜜を吸いにくるアゲハ蝶なのですが、恋の季節なのでしょう。
「ヒオウギ」に目もくれず、アゲハ蝶が止まっているのは「シュウメイギク」です。
花は時期が訪れると、同じ姿で咲くけれども、人の世の移ろい、人の命のはかなさは、世の常、儚いものと私は静かに深く思う。
肺腺癌を患い献身的に治療にあたってくださった主治医のM先生は、こころ優しい先生でいらっしゃる。
いかなる年齢の患者さんの終末期をずいぶん診ていらっしゃたことでしょう。
内に秘めた深い想いがおありでいらっしゃることと、主治医の先生にはいつも尊敬の念を抱き拝察しています。
その日は胸部、腹部のCTをとっていただきました。
「あれから5年になりますね、肺腺癌は治癒していますよ」とおっしゃって下さった。
ほかの臓器も5年前と同じですよと嬉しいことをおっしゃって下さった。(漢詩と違って老いないのかしらと、一瞬思った)
70歳のころとは、無理がきかない体力の衰えは確実にすすんでいます。
死とは無縁の日常生活を営んでいても、その先には死があることを頭の片隅に絶えず持っている年代なんですよね。
感傷的にになってしまいましたが、そんなに深刻には考えてはいない私です。
まだやりたいことがいっぱいいっぱいありますから。
(2021.09.05 日曜日 09:38 記す)