孫の手作り弁当と夢のはなし
平成五年に亡くなった姑さんが夢に出てきて目が覚めた。
玄関先のガラス戸あたりから、にこやかな表情のなかにも、心配そうな顔をしていた姑さんは身体が小さくなっていた姿ですうっと出てきた。
私は、姑さんを抱きかかえるように連れ添って家の中を案内した。
マル夫さんのところに連れて行って一緒に寝かせてあげたいとその時思った。
若ファミリーが賑やかに団らんしている薪ストーブのリビングに案内した。
私は「おばあちゃん」と呼んでいた。
ひと通り家族の様子を見てもらってから、可愛がっていた一人っ子のマル夫さんのベッドに寝てもらいたいと思ったところで、小さな白い亀の甲のようになっていた。
どうしようと私とマル夫さんが話しているところで目が覚めた。
私はお弁当を作りながら、新聞に目を通しているマル夫さんに夢の話をした。
あなたのことが心配で夢に出てきたんだわね~という。
それに私は、舅姑さんが生きていたころの、のどかになっていた時代と様変わりした今の世を憂い、居てもたってもいられなくなりお墓から抜け出してきたような気がしてならなかった。
マル夫さんは無言だったけれども心なしか嬉しそうだった。
夢は見ない、夢を見ても忘れてしまう彼に、この夢を見て母親に会って欲しかった。
(2022.01.17 月曜日 10:43 記す)