漆塗りのお膳
私が40代の頃だっただろうか。
白洲正子さんがなくなられたあとブームが訪れた。
惹かれるものがあり私は白洲さんに傾倒していった。
白洲さん自ら武相荘とよんでいた鶴川にある茅葺屋根の邸宅が一般公開された。
友人と訪ねた武相荘のまわりは、すでに住宅地になっていて武蔵野の面影はほとんどなかった。
白洲さんのご著書をみるにつけ「使い込まれた日常雑器」が好きになっていった。
安価で求められる古道具店の常連となった。
その頃買い求めたお膳である。
断捨離する時に出てきた。
漆塗りがしっかりしている。
私が好んで買ったもの、私の代で使い切ろうとこのお膳で食事をすることにした。
同じ食事でも豊かな気持ちになる。
うれしい。