懐かしい金木犀のかおり
ベランダから石畳の通路に少しの段差がある。
ポンと降りたところで金木犀のお花の匂いが漂ってきた。
今年も慌ただしく時を重ねている間に、その時季がめぐってきたことに感慨を深くした。
ふと木を見上げると、金木犀のお花が咲いていた。
金木犀の花の香りは甘く懐かしく郷愁をそそる。
お庭の金木犀の、柔らかなオレンジ色の小さな花が咲く度に思い出すことがある。
20年ほどまえ金木犀の小さな花を集めて「金木犀酒」を作っことを・・
脳裏に刻まれた当時のことが、まるで映画のシーンを観ているかのように私の記憶の中からよみがえってきた。
懐かしい涙がこぼれる。
わずかに残った金木犀酒を味わってみた。
アルコールは分解され酸味に変わっている。
金木犀らしい香りがほのかに残っていた。
昔なつかしい人に会えた気持ちになった。