同床異夢
手作り料理を作るには食材が揃っていることからはじまる。
お正月の食材の残り「氷頭(鮭の頭のゼラチン質のスライス)」で「氷頭なます」を作りたいと考えていた。
それはお嫁さんの好きな一品でもある。
先日の日曜日、スーパーに買い物に行くと「地場産野菜」のなかに、太くてみずみずしい「貯蔵大根」があった。
朝食の後片付けをし終えてから「貯蔵大根」を下ろしを始め、酢の物「氷頭なます」ができた。
古い「なます皿」に盛りつけた。
「貯蔵大根」でかつおと昆布出汁の利いた「ふろふき大根」が出来る、と思っていた主人とは「同床異夢」であった。
もともと食べることが大好きな主人は、最近は考えられないほど食べることに執着する。
あまりにも彼の食へのこだわりに、病気があるもの好きなようにしてあげたいとも思うが。
主人の好きな食事は、新鮮な素材を生かしたシンプルな海の幸の和食とかつお出汁や煮干し出汁の利いた和の家庭料理。
それ以外はほとんど口にしない、食わず嫌いをとことん通してきた人。
素敵なナイフとフォーク料理など主人は好んで食べたりはしない。
若いころから世間では、食通と言われていた人だけれども、よく良く観察させてもらうと好きな食の範囲はごく狭いものであることを今更にして知る。
食べたい食材はどこまでも探し求めて買ってくる。「ふろふき大根」の食材「貯蔵大根」もついに見つけ、太いものを3本買ってきた。
いかに美味しくいただけるか、その時々見たり聞いたりあるいは印象に残ったお料理を私に教えてくれる。
そのお料理を、私は従順に忠実に再現したことがごく最近まであった。
台所を「お勝手」と呼ぶのは、作る人の勝手だからだと最近友人からきいた。
6人家族の食事づくりは最大公約数でメニューを決める。
年齢的に体力の衰えは否めないが、お陰さまで病気を克服できているいまの私
わがままを言わせてもらえるならば、自分勝手に惣菜のメニューを決めさせて欲しいかなぁ・・
明日からは、主人がいま最も食べたい「ふろふき大根」の仕込みが始まる。