夫婦で癌を患って暮らし方を見つめる
退院した当時「行きたいときに、行きたいところに、ひとりで行きたい」今はそんな心境なのよ、と親しい友人に話していたことを思い出した。
体力的にも、精神的にも、ひとりになりたいと思っていた。
悩んでいた3年前のいま頃。
家を新築した20数年前、夫が夢に描いていた薪ストーブ生活がスタートした。
以来、春から秋口まで、ストーブの薪調達に奔走し、ストックし冬に備える作業は毎年続いている。
スローライフの象徴かな?薪ストーブ生活は「たくさんの時間を必要とすること」「労力を必要とすること」「スペースが必要であること」「灰などの後始末や掃除」など薪ストーブに付随する仕事は次から次へと沢山うまれる。
このような生活が始まって以来、長期の旅行は殆どしたことがない。
夫は薪ストーブ生活を満喫しつつ、忙しい日々をすごしている。
癌を患ってもなお夫は、体力の限界まで肉体を使ったスローライフ的生活を、何の迷いもなくつづけて行くつもりらしい。
充実した暮らしを享受してきた今までのわたしであったが、身体に負荷をかけたくないとの理由で、このような暮らし方から、方向転換したいと、現在生き方を模索しているところなのである。
家事から少しだけ解放された今日、わたしは「ソロ活」でイベントの、「和菓子作りと茶話会」に参加させていただいた。
その時手づくりした和菓子「桃」
その後、立ち寄ったカフェで、独り暮らしをしていらっしゃる3人のシニアの方と出会った。
日常生活の些細で断片的な雑談になった。
お一人の方が「させていただいていると思った方がいいのよ」と教えて下さった。
みなさん、しっかり人生を歩んでこられたことに感心した。
忘れてしまっていた「させていただく」その謙虚な言葉にハッとし、胸がキュッと痛んだ。
癌を患ってもなおまだ、至らないことの多い私であることを、つくづく感じた。